新美南吉・作 /鈴木靖将・絵
あらすじ
おかあさんのたぬきが、こどものたぬきに化けかたを教えています。
でもなかなかうまく化けることができません。
それでもなぜか"げた"に化けることだけは得意なんです。
こどものたぬきが「げた」に化けると、鼻緒の切れたげたを持ったおさむらいさんがやってきました。
うまい具合にげたがあったと、おさむらいさんはこどものたぬきの化けた「げた」をはいて歩き出しました。
こどものたぬきは必死に我慢していましたが、たまらず声を出して泣き出してしまいました。
そのうちにおさむらいさんは村のげたやに入って、げたを買いました。
そして、こどものたぬきのばけた「げた」にお駄賃をあげて「ご苦労だった」と言い行ってしまいました。
こどものたぬきはお駄賃をもらったので、さっきの苦しさも忘れて喜んでおかあさんのたぬきのところへ帰っていきました。
『げたにばける』について
新見南吉童話によくみられる「起承転結」のはっきりした物語です。
新見南吉は友人に「物語は最後にキュッと引き締める点がなくてはならない」と話していたそうです。
この物語でもおさむらいさんにつぶされそうになって泣き出すたぬきにちゃんとお礼をする意外な優しさで締めくくられています。
新見南吉の童話に出てくるおさむらいさんは刀を持っていますが、刀を抜いても人を切ることがありません。
こんな意外性で物語を急転回させるのが魅力ですね。