あらすじ
『いのちをいただく』
坂本 義喜・原案/ 内田 美智子・作/ 魚戸おさむとゆかいななかまたち・絵
このお話は実際にあったお話です。
坂本さんは、食肉センターで生きた牛を解体して肉を卸す仕事をしています。
息子のしのぶくんは、お父さんの仕事が恥ずかしくて、小学校の授業参観では「お父さんの仕事はふつうの肉屋です」と発表しました。
でも、担任の先生に「おとうさんが仕事ばせんと、だれも肉ば食べれんとぞ すごか仕事ぞ」と言われたしのぶくんは、「おとうさんの仕事はすごかとやね」と坂本さんにいいました。
そんなある日、坂本さんがつとめる食肉センターに一頭の牛と女の子がやってきます。
ずっと牛に「みいちゃん ごめんねぇ ごめんねぇ」と語りかける女の子の姿を見て、とても「みいちゃん」を殺せないと坂本さんは思い、明日の仕事を休もうと忍君に言います。
しのぶくんはお父さんの仕事のすごさが分かっているのでこう言って仕事に行くように約束をさせます。
「お父さん、やっぱりお父さんがしてやった方がよかよ。心の無か人がしたら、牛が苦しむけん。お父さんがしてやんなっせ」
坂本さんが「みいちゃん」から変えたお肉を女の子の家で食べたそうですが、女の子は泣いて食べられませんでした。
すると女の子のおじいさんが女の子にこう言いました。
「みいちゃんのおかげでみんなが暮らせるとぞ。食べてやれ。みいちゃんにありがとう言うて食べてやらな、みいちゃんがかわいそかろ? 食べてやんなっせ」
女の子は泣きながら「みいちゃん いただきます。 ありがとう おいしかあ」と食べました。
『いのちをいただく』について
食肉センターは動物の命を食べ物に変える工場です。
そこでは坂本さんのように動物を殺すときも感謝をして丁寧に取り扱います。
だから食べる私たちも動物だけでなく植物の命を食べて生きていられるということに感謝しなくてはいけません。
そして、もう一つ感謝することがあります。
それはあなたの前にある料理を作ってくれた人にです。
作ってくれたお母さんや給食のおじさん、おばさんだけでなく、お肉に変えてくれた人、それを運んだ人、牛や豚を育てている人、野菜やお米を作ってくれた農家の人、食材を売ってくれたお店の人などなど。
あなたの目の前にある料理にはものすごいたくさんの人が関わっているんです。
そう思えば、食べ物を粗末にしたり好き嫌いを言ったりできなくなるとは思いませんか?
食べ物の好き嫌いが多い、食べ物を粗末にする子どもたちにはぜひ読んでもらいたい絵本です。