宮沢賢治・文 佐藤国男・画
目次
あらすじ
二人の若い紳士が猟犬を連れて山に狩りに出掛けました
しかし、何の獲物も獲ることができずに、ついには猟犬は泡を吹いて倒れてしまいました。
下山しようとするも道に迷ってしまい、二人はどんどん山奥へ入っていってしまいます。
そんな二人の前に突然立派な洋館が現われました。
RESTAURANT
西洋料理店
WILDCAT HOUSE
山猫軒
「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」
「ただでご馳走する料理店らしいぞ」
「決してご遠慮はありませんというのはそういうことだな」
2人は戸を押して中に入りました。
すると次々に文字の書かれた看板が出てきます。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落としてください」
「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」
「どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください」
ここで二人は店からの注文が多いことに気がつき、自分たちが食べられそうになっていることにガタガタ震えだしました。
通ってきた扉は一切開かないうえに、向こうの扉から楽しそうな「いらっしゃい、いらっしゃい」の声が聞こえてきて、二人はもう泣いて泣いてどうしようもありません。
その時、戸を突き破って猟犬が飛び込んでくると、悲鳴とともに「山猫軒」は消えてしまいました。
『注文の多い料理店』について
味わい深い猫の顔をした洋館が表紙の絵本です。
子どもってこういうファンタジーのある絵が好きそうですね。
そして、この絵本は全て版画なので味もあり、絵を見ているだけでもたのしいのではないでしょうか。
小説を絵本にする場合、分かりやすくするために文体がアレンジされていることが多いのですが、この絵本は原本そのままの言い回しが使われているので、宮沢賢治の世界観をストレートに味わうことができます。
なので、子どもだけでなく中学生などのこれから宮沢賢治を読んでみたいという人へのプレゼントにもいいのではないでしょうか?
ちなみに岩手にある「宮沢賢治記念館」には「Wildcat House 山猫軒」が実際にあります。
もちろん食べられる方ではなく、食べる方なのでご安心を。