『かさ』太田大八

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太田大八・作

目次

あらすじ

雨の日の夕方に、女の子が赤い傘とお父さんの傘を持ってお迎えに出かけました。

 

公園を通り友だちに手を振って、

犬がはじく水を傘で除けて、

歩道橋を渡りドーナツと人形の店で少し眺めてから

横断歩道を渡って

駅にたどり着きました。

 

 

帰りはお父さんにドーナツを買ってもらって、お父さんの傘に入れてもらって家まで帰りました。

『かさ』について

先に言っておくと、この絵本には一切の言葉がありません

ただ一つ、女の子の傘の赤色を除いては。

 

 

しかし、読む側の想像力によってはとても色鮮やかに見えてインパクトを与えてくれます。

そして、言葉と色を失くしたことで、女の子の心情に集中することもできます。

 

 

この絵本にはこう書かれています。

雨ふりの日のおむかえ・・・子どもにとっては、大切な任務をおおせつかった責任感と、お父さんに会えるうれしさと、もしかしたらほめてもらえるかもしれない期待と、様々な思いがいりまじった時間帯かもしれません。

 

今どき傘をもって駅までお迎えに行くなんて、「サザエさん」くらいでしか見かけない昭和の光景ですよね。

傘がなければコンビニで気軽に買えるし、駅ならタクシーを拾ってもいい。

雨の日の夕方に小さい子どもを一人で外に歩かせるのは危どんな危険なことが起きるか分かりませんしね。

 

それでも今読んでもほっこりしてしまうのはどうしてでしょう。

きっと、この絵本には「いろんな好き」がつまっているからではないでしょうか。

 

女の子は雨が好き、朱い傘が好き、ドーナツや人形が好き。

そしてお父さんが大好き

 

 

目の前の好きなことを通り過ぎていくと「幸せ」が待っている。

そう分かっているからではないでしょうか。

 

 

ちなみに表紙と裏表紙の絵には雨が描かれていないことにも注目してくださいね。

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