『いのちのいれもの』小菅正夫

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小菅正夫・作/堀川 真・絵

あらすじ

 

トコちゃん一家は旭山動物園へ出かけました。

チンパンジー、エゾジカ、ペンギンたちは赤ちゃんを育てていました。

しかし、もうじゅう館にいたトラのイチの姿が見当たりません。

トコちゃんがイチを探していると「喪中」と書かれた看板を見つけました。

イチは死んでしまっていたのです。

 

トコちゃんが泣いていると、ちょうど通りかかった園長さんが「いのちの糸」「いのちのいれもの」についてお話してくれました。

 

トコちゃんがたどった「40億年のいのちの糸」の歴史や「いのちのいれもの」の役割とはどのようなものだったのでしょうか?

『いのちのいれもの』について

旭山動物園の元園長による、旭山動物園を舞台にした「命」について考える絵本です

かわいい動物たちの絵を眺めながら難しいテーマを小さな子どもに分かりやすく伝えてくれますが、大人でも十分ためになる絵本です。

 

「いのちの糸」はあなたから40億年前に起こった奇跡「いのちのはじまり」まで続いています。

あなたの中の「いのち」も40億年の長い歴史を歩んできたんですね。

 

トコちゃんが会った動物たちも姿かたちは違うけれど、みんな中には命が入っています。

生きものたちはみんな大切な「いのちのいれもの」なんです。

 

40億年間、姿かたちを変えながら生き物たちは「いのちの糸」をつないできました。

 

いのちをつなげていくことは、いのちのいれものたち、40億年続く大切なやくわりなんだ

 

あなたの命はあなただけの命ではありません。

だから自殺などで命を粗末にすることは、40億年の歴史の冒涜になってしまいます。

そして、「いのちをつなぐ」ことは、例え子孫を残せなくても、「一生懸命生きることが大切」だと小菅元園長は教えてくれました。

イチには赤ちゃんができなかったけど、それでも、イチは最後の最後まで、いっしょうけんめいに生きて、いのちをかがやかせていたさ。40億年つなぎ続けてきたいのちを、自分だけのものではないいのちを、投げ出すことなく、必死になって次のいれものにたくそうとしてがんばってきたんだ。

 

トコちゃんは次の日も動物園へ行って、イチの「喪中」の看板に横にお花を置いてきました。

「イチ、最後までがんばって生きてくれてありがとう。トコもイチみたいにいっしょうけんめいがんばるね」