キース ネグレー (著), 石井睦美 (翻訳)
あらすじ
メアリー・エドワーズ・ウォーカーという女性を知っていますか?
1832年にニューヨークで生まれ、当時の"女性の常識"を大きく変えてきた女性です。
- 女性の服装はドレスが当たり前だった時代に、世界で初めてズボンをはきました
- 女性医師が認められていない時代に、南北戦争で外科医として活躍し、名誉勲章を授かりました
- 死ぬまで女性の選挙権と好きなものを着る権利を訴え続けました
この絵本はそのメアリーが子どもの時にズボンを始めてはいた時の状況を描いた絵本です。
「女の子がみんなきゅうくつなドレスしか着ちゃいけないなんておかしい!」とメアリー少女は思いました。
初めてはいたズボンはとても動きやすくて快適!
だけど、周りの人たちは大騒ぎです!
陰口をたたいたり、指さして非難したり、心配したり、面と向かって悪口を言われたり・・・
でもお父さんはメアリーの考えを分かってくれました。
「人間って、当たり前だと思っていたことが、変わってしまうのが怖いんだよ」
翌朝、メアリーはズボンをはいて学校へ行きました。
もちろん学校でも大騒ぎ!メアリーは教室にも入れてもらえません。
「ダメだよ、君は男の子の服を着てるじゃないか」
「わたしはわたしの服を着てるんです!!」
メアリーがぷんぷんしながら教室に入ると予想外の光景が待ってました!
『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』について
表表紙の裏側にはズボンとドレスの絵が載っていて、それぞれ「男の子のふく」「女の子のふく」と書かれています。
一方裏表紙にはそこにバツ印が書かれていました。
そして、メアリーの紹介ページにはズボンをはいて凛と立っているメアリーの写真が載っています。
メアリーが生まれた時代に、初めて、ズボンを身につける心境はどのようなものだったのでしょうね。
この絵本にも様々な形で非難する人たちが描かれていますが、そのような状況でもメアリーはズボンをはくという形の「生き方の信念」を貫きました。
そして、メアリーも言っているようにズボンによって物理的にも精神的にも女性の活躍・行動範囲が広がりました。
まず動きやすい!
そして、女性の権利が向上して仕事や生き方も大きく変わってきました。
普段当たり前に身につけているものと考え方や常識は関係しているのかもしれませんね。
メアリーのお父さんの言葉にもあるように、そのことに気がついて何かを変えてみる勇気を持つことを考えさせられる絵本でした。
余談ですが、最近高校でも女子の制服のスカートを見直し、ズボンも選べるような高校が増えてきたそうですね。
それは素晴らしいことだと思うのですが、「男子がスカートをはくことを選べる」という意見が1つもないのが少し残念です。
男子だってスカートをはきたいと思っている子がいるかもしれないですし。