『なんにもできなかったとり』刀根里衣

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刀根里衣・作

目次

あらすじ

一羽のとりがいました。

 

他の兄弟たちに比べて、そのとりはなんにもできません。

飛べないし、

餌をとれないし、

泳げないし、

上手に歌えないし・・・

 

とりは風船や浮き輪、ラッパをうまくなろうと練習しますが、やっぱりなんにもできません。

 

とりがしょげていると「もうすぐ生まれる子どもたちが安心して花を咲かせる場所がなくて困っているの」という花のお母さんに会いました。

 

とりは「ぼくの体ならどこへも飛ばされずに花を咲かせられるよ」と花の上に座って花を守ってあげました。

雨の日も暑い日も風の日も・・・・

そして、春になると・・・とりの姿はありませんでした。

 

かわりに花がきれいに咲いた一本の大きな木がありました。

その木はなぜかとりの姿に似ていました。

『なんにもできなかったとり』について

 

大人になった今だからこそ共感できる絵本ではないでしょうか。

 

仕事や私生活でも子どもの頃に描いていた理想の大人像と比べて何もできない自分に失望する毎日。

なんにもできないとりの悲しくて、みじめな思いも自分も重なりました。

 

でも、心の中ではきっと何かできることがあると信じている自分もいます。

とりのようにそのことを信じて一生懸命ひたむきに生きていくことの大切さを教えてくれました。

 

辛くても最後は自分にできることを見つけて、新しい姿に生まれ変わることで自分の居場所をみつけることができました。

 

みんなができることができなくてもいい。

それに対して悲しむ必要もない。

 

きっととりはなんにもできなかったんじゃなくて、何ができるか分からなかっただけなのでしょう。

 

そんな希望を持てる絵本でした。

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