李 錦玉・作/朴 民宜・絵
あらすじ
「さんねん峠」には昔からこんな言い伝えがありました。
"さんねん峠で転んだ人は、三年間しか生きられない"
なので、さんねん峠を歩く人はみんな転ばないようにおそるおそる歩きます。
ある秋の日に反物売りのおじいさんがさんねん峠を歩いていました。
ところが大変!
あんなに気をつけていたのにおじいさんは石につまずいて転んでしまいました。
「わしはもう三年しか生きられぬ!」とおじいさんは病気になってしまい、寝たっきりになってしまいました。
どんなお医者さんもおじいさんの病気を治せない中、水車屋のトルトリがお見舞いに来ました。
おいらのいうとおりにすれば病気はきっと治るよ
どうすれば 治るんじゃ
さんねん峠でもう一度転ぶといいんだよ
『さんねん峠』について
「さんねん峠」は朝鮮に伝わる有名な昔話です。
朝鮮の昔話や民話の絵本はいくつか出版されていますが、日本人が編集したものが多く、この「さんねん峠」のように在日朝鮮人が直接文を書き絵を描いたものはあまり出ていません。
朝鮮の民族衣装を着た女性たちが洗濯物を頭に乗せたり、建築様式も日本とは微妙に異なっているのを見ると、お隣さんでもやはり別の国だと感じます。
それはともかく、このお話のキモは「逆転の発想」ですね。
一回さんねん峠で転んでしまったおじいさんに「また転べ」と言う少年トルトリの真意はどこにあるのでしょうか?
見事な解決策に脱帽です。