マーグレット・E・レイ ・作/H.A.レイ・絵/ 中川 健蔵・訳
目次
あらすじ
白うさぎの家に子どもたちがたくさん生まれました。
みんな真っ白でピンクの目と鼻をしているのですが、最後に生まれたスポッティだけ体中に茶色の模様があって青い目をしているのです。
お母さんはスポッティのことは好きなのですが、「おじいさんは嫌がるかもしれないわ。うさぎは白いものだと思っているのに・・」と、おじいさんの誕生パーティにスポッティだけ家に置いて出かけてしまいました。
悲しいスポッティは「僕がこの家からいなくなれば、みんな幸せなんだ」と書き置きを残して家出してしまいました。
森の中を歩いていたスポッティは一羽の大きなうさぎに出会います。
なんとその姿は茶色のもように青い目ースポッティにそっくりなのです!
そのうさぎはブラウンさんといい、スポッティを家に招待してくれました。
するとびっくり!スポッティそっくりの子どもたちがわんさかいるのです。
ところが・・・一匹だけ奥に隠れているうさぎだけが真っ白でピンクの目と鼻をしているのです。
その白いうさぎはホワイティといいお父さんは「おばあさんがホワイティを見たらびっくりしてしまうだろうから、どうしたらいいんだろう・・・」と悩んでいました。
その晩スポッティは夢を見ました。
大きなテーブルの上にはにんじんがいっぱいあり、テーブルの周りに模様のあるうさぎや真っ白なうさぎ、大きなうさぎも小さなうさぎが座っています。
でも夢が本当になることはあまりないですよね・・・
翌朝、スポッティはブラウンさん一家をスポッティの家に招待しました。
さあ、これからどんなことが起こるのでしょうか?
『おかえりなさい スポッティ』について
一人だけみんなと違う子どもがいたらどうしますか?
一番分かりやすいのは人種による肌の色の違いでしょうか?
子どもたちは案外そんなことを気にすることなく接することができるんですよね。
スポッティもホワイティも兄弟たちはみんな気にすることなく楽しく遊んでいます。
ところが、周りの大人たちが気にして子どもたちに差別や偏見の芽を植え付けてしまいます。
スポッティはお母さんが大好きなんです。
だからこそお母さんのために茶色の模様を消そうと、染み抜きで体をこすりますが、それでも消えずに家出をしてしまう場面は、とても心が痛みます。
子どもは何も気にしていなくても大人のために"普通になろうとする”
そして、その"普通"というのは人によっても変わってしまうのですね。
スポッティも普通ではなかったのですが、ブラウンさんの家では普通になることができました。
以前読んだ「一つ目小僧」の話を思い出しました。
一つ目小僧を捕まえて見世物にしようとした男が一つ目の世界に入り込んでしまい、「二つ目だ 二つ目だ」と珍しがられて逆に見世物にされてしまうお話です。
結局、子どもに偏見や差別の芽を植え付けるのは我々大人の何気ない言動が大きいのでしょうね。
今一度、この絵本を読んで子どもへの接し方を考えてみてほしいと思いました。