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『むらの英雄』 渡辺茂男

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渡辺茂男 (著), 西村繁男 (イラスト)

あらすじ

エチオピアのアディ・ニハスという村に12人の男たちがいました。

12人の男たちはマイ・エデガという村で粉をひいてもらい、それぞれ粉袋を背負ってアディ・ハニスへ帰る途中でした。

 

森の中を抜けると、ちゃんと12人そろっているのか気になった1人の男が人数を確認してみました。

ところが、この男は自分を数えていなかったので「11人」しかいないことに気がつきました。

そして、2番目の男も3番目の男もやはり自分を数えていなかったのでやっぱり1人足りません。

「大変だ!1人いないぞ!」
「きっと道に迷ってヒョウに喰われてしまったに違いない!」
「あいつは一人で武器も持たずにヒョウと闘って勇ましいやつだったなあ」

12人の男たちは"いなくなった勇敢な男"を嘆き悲しみながら、アディ・ニハスの村へ帰り着きました。

12人の男たちが泣きながら村に入ってきたので、村人たちが飛び出してきました。

12人の男たちは声を合わせていなくなった勇敢な男のことを話し始めました。

村はもう大騒ぎ、ところが1人の女の子が12人の男たちが持ってきた粉袋の数を数えると、ちゃんと12袋あるではないですか。

村長が12人の男の数を数えるとやはり12人います。

「ほう、ちゃんと12人そろっておるわい。いなくなったやつが戻って来たぞ」

 

村人たちは大喜び!

「あいつは1人でヒョウの群れを皆殺しにして戻ってきたんだぞ!」
「そんな勇ましいやつがこの村にいるなんて、すばらしいじゃないか!」

そして盛大なお祭りが行われ、この村には1人の英雄伝説が残りました。

『むらの英雄』について

エチオピアのユニークな昔話です。

伝言ゲームのように、話に尾ひれがつき人をどんどん巻き込んで大きくなっていくのがとても愉快ですね。

そして、「いなくなった英雄」と「戻ってきた英雄」の2段階の勘違いがまた面白い。

どうして誰も気づかないんでしょうか?

でもきっと昔話とか伝説ってこんな風にできていくんですよね~~

例え勘違いでも英雄として村人たちに勇気を与えられたり、士気を高められるのなら、素晴らしいですよね。