君島 久子 (著), 小野 かおる (イラスト)
あらすじ
中国の小さな村におばあさんがかわいい子牛と暮らしていました。
ある晩、おばあさんの家に妖怪が押し入って、子牛をひとのみにし「明日はお前を食いにくるからな」と言い残して去っていきました。
朝になっておばあさんが恐怖で震えていると、卵、雑巾、かえる、こん棒、火鉢、石のローラー、牛のふんが次々に声をかけてきました。
「だいじょうぶ、きっと助けてあげるから」
夜になって卵たちはおばあさんの家で隠れて妖怪を待ち受けています。
そして妖怪がやってきました・・・
『こんや、妖怪がやってくる――中国のむかしばなし』について
中国の青海省に住むトゥ民族が代々語り継いできた民話です。
この物語を読んだ時、「さるかに合戦」に似ているな と思っていたら、あとがきにも同じことが書かれていました。
無敵の英雄が怪物を退治するのではなく、「身近にあるモノが協力して怪物に立ち向かい、友だちを助ける」という構図がそっくりだと思いませんか?
ちなみに中国では他にも似たような話が他の民族にも語り継がれていて、大変人気があるそうです。
そういえば、日本にも他の国にもこんな民話はたくさん伝えられていますよね。
同じような話が文化も国境も歴史も飛び越えて語り継がれているのは、人間の団結力、貢献力、協力さなどの素晴らしさが普遍であることを思わせてくれます。
現代は新型コロナ、大地震などの災害、戦争、など、まさにいつ「こんや、妖怪がやってくる」のか分からない時代です。
だからこそ、このような民話の重要性を再認識する必要があるかもしれませんね。