『2ひきのかえる』新美南吉

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にいみなんきち 作 しまだ・しほ 絵

目次

あらすじ

緑のカエルと黄色のカエルがばったり出会いました。

 

やあ、きみは きいろだね。きたない いろだ。
きみは みどりだね。きみは じぶんを うつくしいと おもっているのかね。

 

こんなことを言い合っていると良いことは起こりません。

2ひきのカエルはとっくみあいのケンカを始めてしまいました。

 

すると寒い風が吹いてきて、2ひきのカエルたちはもうすぐ冬が来ることを思い出しました。

カエルは冬の間は土の中にもぐって冬眠しなくてはいけません。

「春になったらこのけんかの勝敗をつけてやる」と2ひきのカエルたちは土の中に潜り込みました。

 

春になって2ひきのカエルたちは目を覚ましました。

冬のけんかの前に体の泥を落とそうと池にどぶんと飛び込みました。

 

やあ、きみのきいろは うつくしい。
そういえば、きみのみどりだって すばらしいよ。

 

 

そこでもう、2ひきのかえるはけんかをすることをやめました。

 

よくねむったあとでは、にんげんでも かえるでも、きげんが よくなるものであります。

『2ひきのかえる』について

ごんぎつね』や『てぶくろをかいに』で有名な新美南吉の絵本です。

個性だ、ダイバーシティだと言われていますが、まだ自分と見た目や考えが異なる人を受けつけない偏見は根強いものがあります。

 

2ひきのかえるも自分とは違う色は認めず、自分の色が一番であると言い合ってけんかになってしまいます。

でも、じっくり休んで頭をリフレッシュしたら相手の色が好きになってしまいました。

 

そのことが作者の最も主張したいことであると、最後の一文に書かれています。

じっくり見れば自分と違う点でも良いところは見つけることができるのです。

 

冬の相手を受け入れないかえるたちの色は体の一部にしか塗られていません。

ところが春になって相手の良さを見つけると体の色は全体に塗られているのが興味深いです。

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