第Ⅲ章 たった一つのものが好き
ここでのキーワードは
- 「バラの花」
- 「たった一つのもの」
- 王子さまの星にはバラが一つだけ咲いています。
そして王子さまはそのバラに恋をし、毎日毎日かいがいしく世話をしていました。
しかしバラのわがままに手が負えなくなり、王子さまは辛いながらも別れを決意し星を出ていくことにします。

それでも出発するときにバラからかけられた「私馬鹿だったわ・・」という後悔の言葉が忘れられなく、バラのことをいつも思い出してしまうのです。
そんな時、地球に咲き乱れているバラを見たとき王子さまは愕然とし涙を流してしまいます。

王子さまの中ではバラというものは星に生えている一本だけでした。
それが全てで世界でいちばんきれいなはずでした。
しかしたくさんのバラの中にはもっときれいなバラがあるに違いない。
この時王子さまが感じたのが劣等感です。
なぜ王子さまが劣等感を感じたのかというと、「自分の知っている一本のバラ」と「咲き乱れているたくさんのバラ」を比べたからなんですね。
自分の幸せと人の幸せを比べてしまった王子さまは絶望してしまいます。
幸せは人と比べたらキリがありません。
いくら自分がお金持ちで頭が良くて幸せだと思っていても、自分以上のお金持ちや秀才は必ず存在するものです。
そんな王子さまを慰めたのがキツネです。

出会ったばかりの王子さまとキツネの関係は”その他大勢の中の”男の子とキツネです。
お互い別にいなくたって困りはしない。
しかし、「あんたが俺を飼いならすとお互いにこの世でたった一人のものになる」とキツネは王子さまに告げると二人の関係が変わります。
そこで王子さまは自分があれこれ世話をしてあげたふるさとのバラは「王子さまにとってはたった一つのバラだ」ということに気づくのです。
何かと誰かと一緒に時間を共有して、過ごすうちに特別な存在になる。
だれでも 子供のころ肌身離さず持っていたぬいぐるみや絵本などがあったでしょう。
他の人から見たらただの汚いぬいぐるみがあなたにとってはかけがえのない「たった一つのもの」です。
それは長年を一緒に過ごして飼いならしたからですね。
大人になったらどうしてその想いを忘れてしまうのでしょうか。
「絶対的幸福論」vs「相対的幸福論」
キツネの考え方を「絶対的幸福論」といい 他人と比べられない絶対的な価値のある幸福のことを指します。
他人がどう言おうとたった一つのものと過ごす幸せは誰かと比べられるものではありません。
そして絶対的幸福論と対になるのが、「相対的幸福論」です。
これは人と比べる幸せなので、限界がなく永久に満足を感じることができません。
ラッセル | 絶対的幸福と相対的幸福を両方追及するほうがいい |
ヘッセ | 絶対的幸福のみが本当の幸せである |
※ ヘッセは元はどちらも肯定していたのだが、自身に襲い掛かる不幸の連続を経験するうちに絶対的幸福こそ真の幸福と確信するようになったとのこと。