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『ビロードのうさぎ』のウサギとウマ、『星の王子さま』のキツネが教えてくれてた"本物になる""絆をつくる"こと

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大人になっても小さいころに買ってもらったおもちゃやぬいぐるみを大事にしている人は案外多いのではないでしょうか?

そういうものってボロボロになっても耳や目などの部品が取れたとしても、決して新しいものを買い直そうとは思わないですよね。むしろ修理してまで手元に置いておきたいくらいの存在になっているはずです。

 

同じおもちゃやぬいぐるみはお店に新品として売られているのにどうしてそう思うのでしょうか?

その理由はやはり「一緒に過ごした楽しい時間と思い出」でしょうね。

 

その一緒に過ごした時間はいわゆる"普通の一般的に売られているおもちゃたち"を"たった一つの本物"に変えてくれます。

『ビロードのうさぎ』はそのことをテーマにした美しい絵に心惹かれる絵本です。

『ビロードのうさぎ』はクリスマスプレゼントにぼうやに贈られたビロードのうさぎが、ぼうやや他のおもちゃたちや野生のうさぎたちとの交流を経て、"本物のうさぎ”になっていくお話です。

 

ではこの絵本で何回も出てくる"本物"とは一体何なのでしょうか?

 

ビロードのうさぎは他のおもちゃたちや庭で出会った野生のうさぎたちから「君は本物じゃない」と言われ続けて「本物って何?」とずっと悩んできました。

  • 高価で機械じかけおもちゃたちは「ぼくたちは本物そっくりだから本物だ」と、ビロードの布でできたうさぎのことを馬鹿にします。
  • 野生のうさぎたちからは「動かないなんて変だ、本当のうさぎじゃない」と言われてしまいます。

 

そんなビロードのうさぎに"本物"について教えてくれたのは、同じおもちゃ棚にしまわれていたウマのおもちゃでした。

(ビロードのうさぎ)
「みんながいってる"ほんもの"ってどういうこと? ネジでからだがうごいたりすること?」

 

(ウマのおもちゃ)
「そうじゃない」「ほんものというのはね、ながいあいだに子どものほんとうのともだちになったおもちゃがなるものなのだ」

おもちゃのウマはなおもこう言います。

「ただ あそぶだけではなく、こころから たいせつに だいじにおもわれた おもちゃは ほんとうのものになる」

一時的に遊ぶだけではただのありふれたおもちゃです。飽きられればすぐ放り出されてしまいます。ぼうやも最初はそうでした。

しかし、あることがきっかけでぼうやとビロードのうさぎは一緒に寝るようになりました。

それからぼうやはうさぎのことが大好きになって、お互いに毎日一緒に遊ぶ大切な存在となりました。

 

そして、ビロードのうさぎの体はだんだん汚れていきボロボロになっていきます。それでもうさぎはとても幸せでした。

ところがぼうやが病気になってしまい引っ越すことになりました。ぼうやにとっては大切なビロードのうさぎですが、大人にとってはただの汚いぬいぐるみです。

「こんな汚いものは捨ててしまいなさい」とビロードのうさぎはぼうやに別れも言えないまま、捨てられることになってしまいました。

 

そしてお別れの日の前日、うさぎの流した"本物の涙"がある奇跡を起こしました。ビロードのうさぎぼうやだけでなく誰からも愛される"本物のうさぎ"になれたのです。


 

さて、ここまで読んでみて似たような物語が頭に浮かんではこないですか?

私の頭に浮かんだのは聖書に次いで世界で2番目に世界中で読まれている『星の王子さま』でした!

『星の王子さま』は抽象的な表現や言い回しが多く使われているので解釈の仕方が難しいのですが、その分読むたびに新しい発見や解釈ができて何回も読みたくなってきてしまいます。

王子さまは自分の星で仲の良かったバラの花とけんかをしてしまい、宇宙に旅立つ決心をするのです。

王子さまは宇宙で6つの星をめぐり、6人のへんてこな大人たちと出会い最終的に地球にやってきます。

しかし地球で感じる出来事が何かがおかしい、何かが間違っていると思っているうちに砂漠で出会ったキツネに人生を教えられて安心することができました。

そんな時砂漠で不時着し「ぼく」と出会い、友だちになり、自分の星へ肉体を残して帰っていくのです。

 

この『星の王子さま』に登場する有名な名言「大切なことは目に見えない」の次に有名(?)な「絆をつくる」という言葉が『ビロードのうさぎ』の内容と併せて読むとより深く理解できました。

 

王子さまは自分の星に咲いていた一輪のバラの花をとても愛おしく思い毎日毎日水をあげたり強風から守ってあげたりと世話をしてきました。でもバラのわがままに耐えきれず喧嘩をしてしまい星を出ることにしたのです。

 

ところが地球に同じバラがたくさん咲いているのを見て思わず泣き崩れてしまいます。

「ぼくの星にはバラが1つしかなかったのに、ここにはこんなにたくさん咲いているじゃないか!」

 

そんなときに王子さまにキツネが贈った言葉が「絆をつくる」です。

「今はまだ君はぼくにとって何も変わらない男の子だ。ぼくも君にとってはただの一匹のキツネだ。けれど君が毎日ぼくに会いに来てくれたら君はぼくにとってたった一つのかけがえのない存在になるんだ。」

 

つまり見た目は同じでも愛情を持って一緒にいるようになれば、お互いにたった一つの特別な存在になるということです。

この「絆をつくった」存在が『ビロードのうさぎ』では"本物"と表現されていると私は解釈しました。

 

『ビロードのうさぎ』ではうやとうさぎがお互いに愛情を持って最後の最後まで一緒にいたからこそ"本物"(絆をつくった)になれたんですね。

 

そして、「絆をつくる」ことの意味を理解した王子さまはバラのショックから立ち直ることができました。見た目は同じでも愛情を込めて世話をしたバラは王子さまにとって"本物"であることが分かったのです。そして、もう一度地球のバラたちに会いに行きました。

「あれ、きみたちは、ぼくのバラにはぜんぜん似てないや。きみたちはまだ、いてもいなくても、おんなじだ」

(中略)

「きみたちのためには死ねない。もちろんぼくのバラだって、通りすがりの人が見れば、きみたちと同じだと思うだろう。でもあのバラだけ、彼女だけが、きみたちぜんぶよりもたいせつだ。ぼくが水をやったのは、あのバラだもの。」

(『星の王子さま』サン=テグジュペリ 河野万里子訳 新潮文庫 P109より)

 

最後に「絆をつくる」「本物になる」ことを理解した王子さまのこのセリフ↓が『ビロードのうさぎ』の本質を表しているの紹介しますね。

列車のポイントを切り換える鉄道員との会話です

「子どもたちは、ぼろきれのお人形に時間を費やす。だからそのお人形はとっても大事なものになる。それで、とりあげられると泣くんだね・・・・」

(『星の王子さま』サン=テグジュペリ 河野万里子訳 新潮文庫 P111より)

 

そんな王子さまに鉄道員はこう言います。

「幸せ者だな、子どもたちは」

ほんと、自分にとって「本当のもの」「絆を作れたもの」に出会えた子どもは幸せですね。

その気持ちを持ち続けている大人もきっと幸せですよね。